深い空。突き刺す日差しをいくらか薄める風の涼しさが、終わりゆく夏を告げている。

 まだ橙色の赤蜻蛉が、風の中を飛び過ぎて行く。

 堅い草の葉が揺れ、丘のてっぺんの捻れた大木が葉を鳴らした。

 木陰に腰を下ろした少女が、茶ばんだ厚い本をぱたりと閉じ、一瞬空を見上げると、再び視線を落とす。

 それでもここから見えるものはただ、空ばかりだ。

 少女の名は早霜紅葉(はやしも もみじ)。赤みを帯びたさらりとした長い髪、血のように赤い神秘的な瞳。頭の斜め上あたりにモスグリーンの大きいリボンを結い、左耳の後ろから長い三つ編みを左胸へと垂らした12才の少女だ。

 年相応に幼い愛らしさを持ちながらも整った顔立ちの美少女で、つり目がちなところがどことなくつんとした印象を与えていた。

 気怠いのか眠いのか、或いは両方なのか、彼女は不機嫌そうに大きく溜息をつくと、本を深緑色のごく短いスカートから露わになった白い腿の上に置いたまま、華奢な体を木の幹にもたれかからせた。

 夏も終わりとは言っても、昼下がりの熱気は彼女の白い肌を汗ばませるに充分だった。

むき出しの一層白い内腿はじっとりと汗で覆われ、袖のない白いブラウスは、彼女のまだ半球形をなさない小さな胸の膨らみに貼り付いて、その尖ったシルエットや先端の微かな突起、さらにその淡い紅色まで透き通らせていた。

 微かな風が、背後から通りすぎる。

 彼女はまた小さく溜息をつくと、少し怒ったような、それでいてどこか悲しそうな瞳を見せて呟く。

「赤蜻蛉....どうしてさ、まだ夏の始めなのに」

 

どこにいるのか、ツクツクボウシの声がひしめき合っている。

 それに割り込むように、インターホンが鳴った。

 玄関先の門扉の前に立った、先の方だけ軽く癖の付いた長い髪の少女は、ボタンから手を離すと少し緊張したように背筋を伸ばし、大きさと重さでひしゃげた旅行鞄を両手で体の横から前へと持ち直した。

 あどけない顔立ちが愛くるしい紅葉と同じ年頃の少女だが、しかし年端もいかない少女のものとはとても思えない巨大な乳房が両腕に挟まれてはち切れんばかりに膨れる。内からの圧力で弾け飛ばないようにと辛うじて持ちこたえているブラウスのボタンが軋むのを感じると、彼女は慌てて鞄を左手に持ち替えた。

 少女は、応えのないインターホンのボタンをもう一度押した。巨大な胸がゆさりと揺れ、垂れ目がちのくるんとした愛くるしい目は期待感と共に玄関のドアへと向けられた。

「...紅葉ちゃん、いないのかなあ」

 彼女は月代未莉瑠(つきしろ みりる)。紅葉とは同い年の幼なじみだ。

 同じ学校に通った事はないが、互いに近くに住んでいて、子供の頃から毎日のように会っていた。

 小学校5年の時に未莉瑠は少し遠くへ引っ越してしまったが、週末、或いは休日となると殆ど必ず紅葉に会いに来るのだった。

 未莉瑠は何度かベルを鳴らしたが、家の中はしんと静まり返ったままだった。

「....約束、したよね」

悲しそうに目を伏せる未莉瑠。しかしすぐに顔を上げて合い鍵を取り出すと、門扉の鍵に挿す。かちりという音と共に銀色のキーホルダーが鈴に似た音を立てた。シラナミガイの貝殻を模したキーホルダーだ。

 二人は互いに相手の家の合い鍵を持っていて、二つの貝殻を合わせるとぴたりと合うようにできていた。未莉瑠が引っ越した時から、互いの鍵につけていたものだ。もっともこの鍵、使うのは未莉瑠ばかりで、紅葉が未莉瑠の家に訪ねていく事はなかったのだが。

 「こんにちわー」

 未莉瑠は玄関の鍵を開けて家の中へと入ってみたが、人の気配は感じられず、ひんやりした空気が未莉瑠を包んだ。

 紅葉の両親は仕事の都合で滅多に家にいなかったので、この家は殆ど彼女の独り暮らしと言ってよかった。紅葉は両親か未莉瑠がいる時以外は自分の部屋にいて、リビングを使いたがらず、一階が無機質で冷たい感じがしたのは単に涼しいからというだけではない。

 靴を脱いで、いつものスリッパかけに目を遣る未莉瑠。

「スリッパ、新しくしたんだ...」

少し微笑んだ未莉瑠だったが、その表情はすぐ寂しそうなものに変わる。

「履いて、いいんだよね」

未莉瑠は荷物を置くと、少しぎこちなげにスリッパを手に取って履いた。

 しんとした吹き抜けにスリッパの堅い音が響く。いつもの階段が、未莉瑠には今日は長く思えた。

 二回に辿り着くと、廊下の窓が外の眩しさで四角く光っていた。

「いつもの、事なのに.....」

 廊下はどこか知らない家の知らない廊下に見えた。

 未莉瑠が紅葉の家を訪れるのは、去年のクリスマス以来の事だった。それからは、春に互いに相手の中学の入学式に出た時に会った程度で、二人とも以前に比べて会う機会がめっきり減っていた。

 その間に、季節は夏になっていた。

 未莉瑠は、夏休みに入るとすぐ、紅葉の家に泊まりに行くと、去年までと同じように一方的に約束したのだが、今年に限ってはその約束を未莉瑠自身破る事になってしまった。

未莉瑠が風邪で寝込んでしまい、結局8月も半ばを過ぎた今まで、二人は会えないままなのだった。

「いないの?いないんだ....」

 未莉瑠が紅葉の部屋をノックする音が戸と壁を伝って未莉瑠を冷たく包む。以前はどことはなしに感じだけで彼女には紅葉が部屋にいるかいないか解った。紅葉もそれは同じで、足音を聞けばそれが未莉瑠のものだと解るのだ。

「どうぞ」

 紅葉が部屋にいれば、未莉瑠に無関心であるかのようないつもの声が返ってくる。

 そして未莉瑠が部屋に入ると、紅葉は少しはにかんだ微笑みで彼女をいつも迎えてくれた。

 しかし、今はもう、未莉瑠には彼女が部屋にいるのかどうか解らなくなっている。

 未莉瑠はふーっと溜息をつくと、紅葉の部屋の戸に寄りかかってそのまましゃがみ込む。立てた膝に巨大な乳房が乗り、ぐにゃりとひしゃげる。

「今日、行くって言ったのに...言ったのに....言ったのに.....紅葉ちゃん、あたしの事...」

 未莉瑠はそれ以上言う事も考える事もやめた。それは彼女にとって、絶対に考えてはいけない事だったのだから。

「いないんだったら、玄関、鍵締めとかなきゃね」

 動かない体を勢いよく立ち上がらせる未莉瑠。力無く歩いた後に涙の粒がいくつか散る。「....鍵!」

階段の途中で未莉瑠ははたと立ち止まった。

 

「買ってきたよ。こういうキーホルダーってほんとにないらしくてさ、随分探したんだから」

 嬉しそうに微笑む未莉瑠がキーホルダーを紅葉に見せる。

 それは、未莉瑠が引っ越す前の日、二人がいつも行く丘での事だった。

 丘の頂上には大きい捻れた木が立っている。そこが二人だけの場所なのだ。

 未莉瑠は木の上の方にいる紅葉にキーホルダーを渡そうと手を伸ばすが、すぐ引っ込めて幹に手をかけ、登り始めた。

 丘の中腹の、街に面した側には大きい岩がちょっとした崖のように突き出たところがあって、そのために頂上の木の上の方まで登らないと街が見渡せなくなっている。逆に丘の頂上にいると空しか見えず、丘が空の中に浮かんでいるように見えるのだ。

 独りでは登れない未莉瑠はいつも紅葉に引っ張ってもらっていた。その日も紅葉は無言で手を差し出す。

「今日は、一人で登る」

 ぎゅっと幹にしがみつき、足を根元近くの瘤にかけると、今ほどの理不尽な巨大さはないにせよ十才の少女には不釣り合いに大きい胸の膨らみが押しつけられて潰れる。二、三十センチ登る度に十数センチずり落ちながら、それでも少しずつ登る未莉瑠。

 紅葉はその様子をきょとんとして見つめていた。

 しばらくの後、未莉瑠はやっと紅葉と同じ枝まで登り着いた。ブラウスのボタンのいくつかは外れてなくなり、汗ばんだ胸の谷間まで露わになっている。汚れてびっしょりと濡れたブラウスは彼女の胸に貼り付いて透き通り、彼女の発達した乳房やその大きさに相応しい乳輪、そしてその先端で健気につんと立った乳首までくっきりと映し出している。

 未莉瑠は肩で息をしながらキーホルダーを差し出した。

「ずっと、一緒だよ」

「...うん」

 未莉瑠の屈託ない微笑みに応えて紅葉も微笑み返す。二人は互いに顔を近づけ、唇を重ね合った。

 

 丘はあの日と変わっていなかった。二人はあれからも、何度かここに来た。

 しかし今日、紅葉は初めて独りでここに来ていた。

「ほんとは、あの日で終わっちゃったのかな....」

 抱えた膝に顔を押しつけ、首を左右に振る紅葉。

「家出待ってればよかったの....?でも、でもさぁ...。あたしが、変わっちゃったって言うの?」

 丘が浮かんでいる青い空が涙でにじんでゆく。

 いつしか、紅葉は木の下で体を投げ出して眠っていた。

 

「ごめんね紅葉ちゃん。あたしが忘れちゃ、いけないよね」

どこかで未莉瑠の声が聞こえたような気がしたかと思うと、一瞬かっと蒸し暑さを、紅葉は目を醒ました。

 全身にびっしょりと汗をかいた体を少し斜めになった日差しが照らしている。

 頭がぼやけていてじんと痛い。

 紅葉の緑色の視界の中に影が映り、視線を少し動かしてみる。

「遅れちゃったね....」

 そこには未莉瑠が立っていた。息を弾ませ、少し震える声で、それでも今までと同じいつもの出会いのように言う未莉瑠。

 「そんなに....待ってなかったから」

 紅葉も、いつものように未莉瑠に感心がないような素っ気なさで答える。

 しばらく、二人は言葉を交わさないまま互いを見つめ合っていた。

 濡れたブラウスが紅葉の薄い胸にへばりついている。その先端でブラウスにこすられた突起が恥ずかしそうに励っているのを感じた。

 それよりも、胸の奥から喉へと熱い何かがずんと上がってきている。心臓が早鐘のように鳴っていて、乳首が一層しこり立っている。

 おもむろに、未莉瑠が口を開いた。

「紅葉ちゃん、ぱんつ見えてるよ。はしたないぞ」

 眠っている間に、自然と脚を開いていたらしく、下腹部の膨らみに貼り付いた小さなショーツが、白い恥丘や、微かな茂みまで透けさせて丸見えになっている。

 紅葉は少し恥じらいを浮かべて、しかし脚は閉じないままで未莉瑠を見ている。

「未莉瑠だって...」

紅葉が呟く。

 未莉瑠の白いタイトなスカートは殆ど透けている上に紅葉に負けず劣らず短いもので、座っている紅葉から見上げれば食い込んで恥ずかしそうな割れ目を映し出した紐同然の小さな下着が嫌でも目に入る。

 突然未莉瑠が二、三歩紅葉に近寄ると、全身の力を抜いて紅葉めがけて倒れ込んだ。

巨大な乳房が紅葉にのしかかり、その先端で目一杯立った乳首がブラウス越しに淡い桜色を曝しながら紅葉の胸をなぞる。

 紅葉はむせ返るような喉の詰まりを覚えながら未莉瑠に押し倒されるに任せた。

 二つの体が草の間に倒れる。

 紅葉は、犇めく未莉瑠の一対の水風船の下から這い出す。片方の乳首が未莉瑠の乳首に引っかかって弾かれる。くすぐったさとはまるで異なる感覚と共に、どすんと胸が疼いた。

 紅葉は未莉瑠と絡み合ったままでその身を未莉瑠の上へと乗せ、未莉瑠の唇に自身の唇を重ね合わせた。

 未莉瑠は一瞬驚いたような表情を浮かべたが、すぐに悟って唇を開き、紅葉と舌を絡ませ合う。

 二人はそのまま上になり、下になりしながらひたすら斜面を転がっていった。

 草の葉が散り、羽根のないコオロギやバッタ達が跳ね回る。

 汗にまみれ、草いきれに包まれた二つの体が靴やブラウスのボタンを途中に残したままもつれ合って丘を下り、少しだけ傾斜の緩くなった辺りで二つに弾けてやっと止まった。

 紅葉は大の字に体を横たえたまま全身で息をしている。顔を上げると空の上に逆さになった家並みが見えた。心臓が激しく鳴っている。スカートがめくれ上がったまま体にまとわりついて、紐のように小さな下着をぴったり食い込ませた下半身が草の葉を所々にへばりつけてむき出しになっている。

 元々秘部を辛うじて覆えるほどの布地しかない下着が少しずり落ちて、産毛と辛うじて見分けが付く程度の恥毛や恥ずかしそうな割れ目がべとつく汗の玉に覆われてはみ出していた。

 未莉瑠を捜して辺りを見回す紅葉の視界に、突然巨大なバストが飛び込んでくる。ボタンが弾け飛んではだけたブラウスから、上気したような桜色の大きい乳輪や先端でつんと立つ乳首まで曝してたぷんたぷんと揺れていた。

「紅葉ちゃん!」

 未莉瑠が喘ぎながら紅葉の体にのしかかる。華奢な体に不釣り合いな程の乳房が二つの体に挟まれてむにゅりと潰れ、脇へとはみ出る。

 草いきれが紅葉の鼻を突き、早くなった鼓動が喉の詰まりと共に鉄の棒のように突き上がってきた。

 未莉瑠が少し体を浮かせて自分のブラウスを脱ごうとする。紅葉はその手を掴んで

「こっちが先!」

 と未莉瑠のスカートに手を伸ばし、下へとずり降ろす。

「こだわるなぁ」

 紐のような下着が割れ目の下半分までも達していない未莉瑠の白く小さなお尻が露わになる。肌をなぶる熱い空気が心地よい。

 未莉瑠は腿の中程まで下がったスカートを両脚で足元へと下ろし、どこかへ投げ捨てると、紅葉と濡れた唇を押しつけ合ったまま紅葉のスカートのホックを外した。

 紅葉は腰を左右に振って自分のスカートを下げていき、やはり足で投げ捨ててしまうと未莉瑠のブラウスの裾に手をかける。未莉瑠も紅葉のブラウスの裾を掴み、同時に相手のブラウスを無理矢理引き剥がした。

 二つの白い裸身が同時に露わになる。仰向けになった紅葉の小さな胸の膨らみは殆ど真っ平らになり、人より大きめで輪郭がくっきりした乳輪や精一杯突っ立った乳首が健気に天を向いてふるふると揺れている。

 紅葉の体の上に乗っかっている未莉瑠は彼女の薄っぺらい胸板めがけて自分の胸をむにゅりむにゅりとこすりつけた。

 紅葉は喘ぎながら未莉瑠にしがみつく。

未莉瑠は悪戯っぽく微笑むと紅葉を振りほどき、体の向きを変えて紅葉の足の方に頭を向ける形で四つん這いになった。

 未莉瑠の視界に入っているものは、紅葉の微かな恥毛と愛らしい割れ目、その間から覗く小さく健気なクリトリス、ただひたすらそれだけだ。

「もう...」

 紅葉は少し躊躇して脚を閉じかける。

 未莉瑠がとっさに紅葉の腿を掴んで再び押し広げると、紅葉もそれに任せて力を抜いた。

 恥丘から続く白く柔らかい肉の高まりが左右に開き、間から幼く堅いながらも蜜をたたえてぐっしょりと濡れた花弁が姿を見せる。

 未莉瑠は心臓を高鳴らせて紅葉の腿の間に顔を突っ込み、懸命に勃起しているクリトリスを舌の先で転がした。

「あっ.....!」

 紅葉が愛らしい悲鳴を上げ、首を左右に振る。

 その間にも未莉瑠の舌は先へと動き、一対の襞の縁を辿ったりしたかと思うと、その間の底面をめまぐるしく這い回る。花弁の奥からとろとろと蜜が溢れ出す。

「あっっ...あんん、...んあはあ....!」

 顔中をぬるつかせて紅葉を弄んでいた未莉瑠だったが、突然体をびくんとのけぞらせて叫びを上げる。

「いやあああ!?」

 紅葉が未莉瑠の小さな尻たぶに両腕でしがみつくと、彼女のつるんとした恥丘の下で精一杯堅くなったクリトリスを舌先で弾いたのだ。

 そしてさらに彼女の舌は花弁の奥へとこじ入れられ、未莉瑠から吐き出された蜜をぴちゃぴちゃとしゃぶり始めた。

 未莉瑠は紅葉の顔の両側に膝をついて跨ったのだから、彼女の恥ずかしい部分は全て紅葉からは丸見えになっている。紅葉を攻めている間に未莉瑠の花弁もぐちょぐちょに濡れ、紅葉の顔めがけて蜜を滴らせるのも道理だし、未莉瑠も紅葉を待ってはいたのだが、いざ紅葉の攻撃が始まると、未莉瑠は全く為す術もなく紅葉の上でその身をひくつかせて蜜を迸らせるだけだった。

 紅葉が顔を上げて未莉瑠の開いた襞の奥に舌も唇も押し入れ、かき回す。漏れだした愛液が紅葉の唾液と混じってぼたぼたと散り、未莉瑠が声をあげて腰をリズミカルに波打たせる。

 紅葉が眼前の未莉瑠の小さく愛らしい菊座の中央で僅かに肉色を帯びた部分をつんと鼻先でつつき、間髪入れずに舌を這わせると、未莉瑠は素っ頓狂な叫びと共に大きくのけぞり、そのまま脇へと崩れ込んでしまった。

 紅葉は愛おしそうに微笑むと、それに息を合わせて体をひねり、未莉瑠を仰向けにひっくり返しながら自分の体をその上に乗せる。そして体の向きを180度変えて、仰向けになった未莉瑠の上に覆い被さると、唇を未莉瑠の唇に押しつけて開かせ、先程彼女からすくいとった蜜を彼女の口の中へとそそぎ込む。

 驚いて目を丸くする未莉瑠に紅葉は口の周りをぬるつかせたまま、

「未莉瑠のだよ、あたしのと混ぜてね」

 すると未莉瑠は舌の上に残っていた紅葉の蜜とたった今紅葉からつがれた自身の蜜をむせながらも嬉しそうに飲みくだした。

 紅葉はひとしきり未莉瑠と舌を絡ませ合うと、体を起こし、未莉瑠に馬乗りになって開いた花弁をやはり開いた未莉瑠の花弁へと押しつける。

「んっ...あっあっあっ....紅葉ちゃん、知ってた?ここ、下から、見えちゃうよ?」

 くちゅくちゅと音がして、互いの体に鈍い電流のような衝撃が伝わる。紅葉は腰を左右に振って未莉瑠の秘芯を、花弁をぴむぴむと弾く。未莉瑠は狂ったように体と顔を前後にも左右にもよじってこたえ、声にならない叫びを上げる。

「気になるの?」

紅葉がひたすら荒い息の中で辛うじて言いながらますます激しく腰を振り、未莉瑠にぶにゅぶにゅとこすりつけてゆく。

「....ぜんぜぇんん!」

 やっとそこまで言うと、彼女の口は迸る熱い息の出入りだけで占められた。

 彼女の言葉は明らかに嘘だった。眼下の家並みから自分達の痴態が丸見えになっていると知った未莉瑠は紅葉の往復運動に応えるように腰を浮かせて一層激しく振り動かし、紅葉へとぐにゅりぐにゅりとぶつけている。

「ありがと」

 紅葉も言葉を発し得たのはそこまでだった。時折喘ぐ以外はただ息せき切らせて、薄汚れた汗まみれの裸身をよじり、波打たせる。

 二人のぐちょぐちょに濡れた花弁が一対の別の生き物のように激しく絡まり、へばりつき合い、また振りほどき合い、また絡む。後から後から吹き出る粘液がとろとろと流れ広がり、互いの下腹部へと塗りつけられ、そしてまた後からあふれ出ては辺りに飛び散り、さらに流れ出す。

「あふぅ...ふぁあ!んあっ、んああ、あん、あん、あん、んあん、紅葉ちゃ、んやはあああああ!」

「ぅん、んっ、んっ、くふぅん、んふぅん、んふう、んあっ、あんっあっ、あっ、あああああああああ!」

 二人の喉の奥から白く熱い火照りがこみ上げ、そしてその心は完全に同調して快楽の絶頂へと駆け登って行く。

 

 草原に、少女の裸身が二つ、手を取り合ったまま仰向けに転がっている。

 二人とも、昏絶したまま幸せそうに寝息を立てていた。

 目を醒ました未莉瑠が目を開けて、紅葉を見つめると、手をぎゅっと握った。

「...気持ちいいね」

「...うん」

紅葉が未莉瑠の手を握り返す。

「今年は、一緒に海行けなかったね....行きたかったな、紅葉ちゃんと二人で」

「行けば、いいじゃん」

「でも、もうクラゲとか、いっぱいいるよ、きっと」

「行けるよ、今からでも、泳げるとこ、探してあるから」

 紅葉が視線だけ動かして未莉瑠を見つめる。

にっこりと嬉しそうに未莉瑠が微笑んだ。

紅葉も少しはにかんだいつもの笑みを返す。

 

 空を、まだ橙色の赤蜻蛉が、風の中を飛び過ぎて行く。

 それは、二人に夏の始まりを告げる使者だった。  

                    −終−

 

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